since Apr.27th 1998 Up date 2012年5月10日
| 天使は顔を過去に向けている。ぼくらならば事件の連なりを眺めるところに、かれはただカタストローフのみを見る。そのカタストローフは、やすみなく廃墟の上に廃墟を積みかさねて、それをかれの鼻さきへつきつけてくるのだ。たぶんかれはそこにとどまって、死者たちを目覚めさせ、破壊されたものを寄せあつめて組みたてたいのだろうが、しかし楽園から吹いてくる強風がかれの翼にはらまれるばかりか、その風のいきおいがはげしいので、もう翼を閉じることもできない。強風は天使を、かれが背中を向けている未来のほうへ、不可抗的に運んでゆく。その一方ではかれの眼前にある廃墟の山が、天に届くばかりに高くなる。ぼくらが進歩と呼ぶものは、この強風なのだ。 |
| ――W・ベンヤミン |
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