四六判/フランス装 |
464頁 |
ISBN:9784863330993 |
価格 2,750円(本体2,500円) |
発行日:2015/04/30 |
戒厳令解除後に育った大学院生のわたし李文心と同級生小海。ふたりの祖父をつなぐ台湾現代史の傷跡。
セクシュアル・マイノリティである友人阿莫の孤独。台北の浮薄(クール)な風景のなか、忘却の誘惑にあらがい語りだす傷の記憶が、短編をコラージュするかのように紡がれる。気鋭の作家による新たな同時代文学への試み。
胡淑雯(フー シューウェン)Hu Shu-wen
1970年台湾台北生まれ。台湾大学外文系卒業。新聞記者、編集者、女性運動団体に専従した時期を経て、現在は作家活動に専念している。台北文学賞、時報文学賞などを受賞。
三須祐介(みす ゆうすけ)
1970年生まれ。立命館大学文学部教員。専門は近現代中国演劇・文学。
「訳者あとがき」より
この作品は、台湾社会が抱える諸問題を、過去の歴史と現在をオーバーラップさせつつ、戦後国民党とともに大陸から渡ってきた外省人と日本時代を経験している本省人との間に横たわる軋轢(省籍矛盾)、二・二八事件や白色テロといった政治的抑圧、省籍矛盾とまったく無関係とはいえない都市の貧困(あるいは都市と農村の経済格差)、女性やセクシュアリティなど社会的弱者の問題を、まさに闇の中から「抉りだす」というような筆致で描き出している。
語ることの困難と記憶の不安定感──日本語版序 胡淑雯
1 小光
2 小海
3 阿莫 ・ 秋香
4 来来飯店
5 楽蒂
6 お嬢様の試験
7 裸の海岸
8 西門町・獅子林・欲望という名の電車2.0
9 処女
10 マンション・バー
11 天天開心
12 白いプレゼント
13 ガーリーボーイ
14 チャーリー・パーカー
15 小さいころのできごと
16 ただです、ご自由に・さよなら小海
17 眠れない
18 G
0 後記