四六判/フランス装 |
364頁 |
ISBN:9784863330627 |
価格 2,530円(本体2,300円) |
発行日:2013/02/28 |
母と娘の葛藤物語を装うリアリズム風の一篇からはじまり、異端の生命・吸血鬼、さらにはSFファンタジーの奇々怪々なる異星の存在が跋扈する宇宙空間へ。
クィアSF小説作家による
洪凌(ホン リン)Lucifer Hung
台湾を代表するクィアSF小説作家。台湾大学外文系卒。英国サセックス大学にて修士号、香港中文大学にて博士号取得。現在、国立中興大学人文社会科学研究センター博士後研究員を経て、現在、世新大学性別研究所助理教授。
時に漫画チックな語り口を装いつつ、セクシュアル・マイノリティの場から、サイエンスファンタジー、サイバーパンク、テクノゴシック、あるいは武侠小説等々、各領域にまたがるハイブリッドのディスクールを披露する。
櫻庭ゆみ子(さくらば ゆみこ)
慶應義塾大学准教授。専門は中国現代文学。
「訳者あとがき」より
男性と女性、生と死の境界があいまいで識別しがたいごた混ぜ状態は、ブリューゲルのカーニバルを描いた絵のように、猥雑でおかしいのである。本来ならセクシュアル・マイノリティとして社会の片隅に追いやられ存在の意味をそれだけ意識せざるを得ずに悲劇の色調を帯びがちな状況を、グロテスクな笑いでひっくり返す。情緒の罠に陥らないように、緻密な計算をしつつ冷静にすり抜ける。サイバー空間を自在に泳ぐハッカーのように。
玻璃 の子宮の 詩
月での舞踏
星光 が 麗水 街を横切る
暗黒の
黒水仙
その1 闇夜の変奏曲
その2 獣難
肉体錬金術
その1 記憶は
晶片
の墓碑
その2
水晶の眼球
髑髏 の地の十字路
サロメの子守歌
唯一の獣、唯一の主
勇将の初恋と死への希求
白夜の詩篇
その1 寓話創神記
その2 暗黒の黙示録
その3
夜陽
の誕生
書評・紹介など
『図書新聞』2013年7月27日号(評者:中沢けい氏)
『週刊読書人』2013年7月19日号(評者:垂水千恵氏)
『日経新聞』2013年6月5日夕刊(評者:小谷真理氏)
『ダ・ヴィンチ』2013年8月号(紹介:石森康子氏)