「浮世絵は愉しい―沢井コレクション百選展」を友人たちのご協力によって開催することになった。有り難いという気持ちと同時に、いささかの気恥ずかしさを感じている。気恥ずかしさは、私のコレクションには、世間的に評価の高い作品は数点しか展示出来ないことである。従来の浮世絵展といえば、写楽が何点展示されているか、歌麿が何点出ているかによって、展覧会の評価が決定されていたようだ。ところが、私が収集した浮世絵は、乏しい小遣いの範囲内で購入したものばかりだ。十数年かけて自分が本当に気に入ったもの、自分が素晴らしいと惚れ込んで集めたものばかりだ。
「よく見ればなずな花咲く垣根かな」(芭蕉)という視点が私の浮世絵に対する姿勢である。高価な蘭の花や鮮やかな薔薇の花は一点も入っていない。しかし、垣根に咲く「なずなの花」は近づいてよく見てみると魅力にあふれるものばかりだ。
浮世絵を見る愉しさ、それは自分の目で、その魅力を見つけ出す愉しさだ。他人の評価ではない。自分でよい作品を見つけ、その魅力を愉しむことである。
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